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ライフ・レッスン

エリザベス・キューブラー・ロス+デーヴィッド・ケスラー共著上野圭一翻訳
角川書店/2005年8月
740円

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 絶望するには長すぎる、希望を抱くには短すぎる日々——。

 がんなどの不治の病の告知を受け、数ヶ月に終わるかも知れぬ日々をいかに生きるべきか? 自分なりのプログラムをたてられる人は意外に、少ない。多くの人がせっかくの終末期を「治る」幻の日を夢見て医療との格闘の渦中で終える。いったい、高い確率で短い日々に終わる生と知った後の一日一日を幸福な気分で過ごすことは不可能なのだろうか? 
そうした絶望的な問いに答える教科書、表題の書物がようやく、私たちの手元に届く。

著者というより探求者ロスは死の研究者として知られている。末期がん患者やエイズ患者の克明な証言をもとに、人間の死への心理的プロセスを分析的に明示し、臨死体験の聞き取りの研究によって医療界に大きな波紋を投げかけ、賞賛をもって迎えられた歴史的名著『死の瞬間』シリーズの著者である。共著者のデーヴィッド・ケスラーはホスピス・ケアのスペシャリストとしてこれまで数百人の終末期患者と共にすごしてきている。

 この書がかつての二人の、とくにロスの膨大な論考と比較して深まりを見せているとすれば、それは彼女の過去七年間の死線を彷徨う闘病体験に拠っている。ある報道によれば、ロスは一時は面会を謝絶し、過去の業績は金と時間の無駄だった、と断定したという。ロスであってなお専門家は当事者の壁を突き破れなかった……多くの医療者、死の専門家は呆然とそれを受け止めるしかなかった。しかし、がん患者である私は心で喝采を叫んでいた。人間は否定、怒り、取引、抑うつ、死の受容にいたる……との彼女の解析は観察者の枠を超えてはいない。それぞれの段階の意味を読んではいない、と。それどころか、怒りの正当性を抑圧したのではないか、と。病の床で、彼女もまた怒り続けていたという。そして……、この書物が誕生した。具体的な人生実践、導きの書である。(柳原 和子)

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