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補完代替医療入門 上野圭一著 |
本書は、題名通り、「補完代替医療」の本格的な入門書になっている。著者は、この本に先立つ事半年前に、角川書店から「代替医療」という新書を発行している。本書を読まれる方は、この前著を合わせ読まれる事をお薦めする。理由は、この入門書があまりに正統でありラディカルだからだ。
瀧沢克己という哲学者がいる。西田幾多郎に学び、西田のすすめで20世紀最高の神学者カール・バルトに師事し、「インマヌエル哲学」という独自の体系的哲学を構築した日本では希有な思想家である。
瀧沢は、晩年「老人性黄斑部変性」という放置すれば失明に至るという病に罹る。この難病から彼は、全治するのであるが、ここで彼が出会い、選んだのは西洋近代医療ではなく、晴明教という世界救世教の一派が行う「浄霊」というエナジーヒーリングだった。俗に言う手かざし療法である。瀧沢は、この自己の身の上に起こった出来事を『現代の医療と宗教』という書籍にまとめ発表しようと試みたが、彼の弟子がその「いかがわしさ」故に発表をさしひかえるようにといい、生前は発刊されなかった。
いわゆる「ヒーリング」といわれる手かざし療法は、セラピューテックタッチ、スピリチャルヒーリング、浄霊、レイキなどさまざまな呼称を持ち、代替医療の大きな一角を占める。著者は、本書で瀧沢の著作を軸にエナジーメディスンに、必要以上と思われるほど、論究する。人間は、物質ではない。人間は物質としての肉体に還元され得ない存在であり、その存在は、霊的(スピリチャル)なるものを包含する。著者の筆はこうした通常非合理的であるとされることがらを取り扱いながら、終始一貫理路整然と述べられていて読後感も心地いい。
この本を代替医療に関心のあるすべてのひとに広くすすめたい。代替医療の科学的な証明にすべての論拠をもとめずにはいられない狭隘なる精神には、特にはすすめたい。本書を過激なる書物であると言うなかれ。本書で述べられ得ていることこそ、代替医療の中心軸なのである。この核心が熱いからといって距離をとるものには最終的に代替医療を理解する事はないだろう。この神秘なる出来事にこそ、代替医療が「代替」足りうる力が潜んでいる。(若松英輔)
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