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告知されたその日からはじめる 私のがん養生ごはん 柳原和子著 |
本たしかに現代医学(近代西洋医学)は人々の寿命をのばし、不治と呼ばれてきた病気の限界を打破すべく、日々進歩してきた。それに伴い「がん」という存在も大きく変化してきている。クオリティ・オブ・ライフという言葉が叫ばれるようになった現実にも、患者にとっての医療の変化が如実に表れている。
つまり、がんなどの重い病に倒れたとき、医療は欠かせないものではあるが、患者という視点で考えたときに、現代医学は患者の限られた一部を担うだけになりつつあると言っても過言ではない。悪性腫瘍はピンポイント的に取り去ってくれる。が、しかし、手術や抗がん剤治療などを終えて病院を後にするとき、がん患者は命を委ねていた医療者の手を離れ、なすすべもない広い世界へ放り出されるのだ。そして患者という重荷を背負いながら、食事、心、人間関係、社会なども含めて、日々の生活という現実にぶち当たるのである。つまり、自分の責任における、がん治療および養生、再発予防という責任がのしかかってくる。
病院にいるときは、患者が自分のためにできることはほぼ皆無かもしれない。でも、一歩病院を出たあとのがん患者は、患者としての自立が強いられる。そのとき自分のいのちのために、いったい何ができるのだろうか?
その答えを出したのが本書だ。
がんを告知されながらも、長期生存を果たしたがん患者たちを訪ね歩いて“生き延びた”秘訣を聞き、一方では現代医学のがん治療について医師に激しく問いただし、“患者学”なることばを創出した前著『がん患者学』(晶文社)は大部ながらもベストセラーとなって大反響を呼んだ。本書は、その“生き延びた”彼らの多くが実践していた食事と心の療法を習い、模倣しているうちにたどり着いた、著者自らの養生術を紹介したものであり、いわば、『がん患者学』の実践の書といえる。
がんは代表的な生活習慣病であり、食生活が要因のひとつであることは広く認められているところだが、いったんがん患者になると、医療現場において、食事改善を指導されたり、食事療法をすすめられたりすることは皆無である。しかし、療養の精神的な杖の役割を果たしてくれるのが、著者自らが実践してきたような、食事療法をはじめとする日々の養生の積み重ねなのだ。食事と心の問題は、決してがん治療の効果と無縁ではない。(工藤玲子)
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