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シュタイナーに〈看護〉を学ぶ〜世界観とその実践

大住祐子著
春秋社/2000.7
2,205円

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 シュタイナーが創始した人智学は、総体としてよりも、彼の教育体系だけが日本ではことさらに取り上げられているように思われる。シュタイナーの本を読んでいると「治療教育」という聴きなれない言葉に出会う。彼にとって、教育が知識の量や幅広さを争わせるものでなかったことは容易に想像がつくだろうが、彼が教育に「治療」の本質的側面の実現を見ていたことはあまり深く考えられていない。

 本格的にシュタイナーが日本に紹介されてから、30年以上の歳月が流れた。現在の書店の賑わいが示すように、歳月の経過にともなって、シュタイナーの本質的理解が深まったかどうかは疑問だ。高橋巌、笠井叡、渡辺照宏といった個人の魂で行われた劇は別にして、社会的存在としてのシュタイナーの思想は、何かが抜け落ちているという感が否めない。

 一方で、健康もしくは、人間の存在を巡る霊性の論議が始められつつある。WHOでの健康の定義の刷新を待たずとも、現代人を巡る疾病と治癒の問題は、霊性的考察なくしては、一歩も進めないところまできている。シュタイナーは人間の存在は、ボディー・マインド・スピリット——霊魂体の3つからなる統合体だといった。彼自身の口調を真似すれば「強調しすぎてもしすぎることはない」といわんばかりに、どの著書を開いてもこの彼の確信を読み取ることができるだろう。

 著者である大住氏は、ドイツにある小さな人智学医療を実践する病院で2年間看護婦として臨床の現場に身を置く。本書の意味は、現代の日本人(著者)が、自らの父親の死を契機に、アロパシー医療から人智学医療に飛び込んでいった人間のドラマにある。その人間だけが見、聞き、語りうる何ものかをそこに読み取ることが面白みであり、意義でもある。本書で用いられている「治療」と「治癒」のことばの区別を考えてみるだけでも本書と時間を共有する意味は十分にある。

 「人智学とは、ルドルフ・シュタイナーによって提唱された精神科学(霊学)と呼ばれる世界観です」

 この一言に彼女の正統性が感じ取れる。霊学が、学問の体系でもなければ、哲学でもない、世界観であるという認識には深く共鳴する。シュタイナーは、若き日の書簡で、世界観とは、われわれ自身が何者であるかを知らしめるだけでなく、何者かにしてくれるものでなくてはならないと書いている。この意味で、人智学は世界観であり、このことを正確に捉えた医学が、日本で始まろうとしているのは、この上なく意義深いと考える。 (若松 英輔)

『驚異の触手療法〜筋肉疲労が病気の原因だった』

『祈る心は、治る力』

『ドイツ婦人のハーブ学』

『自然治癒力を高める連続講座1〜代替療法と免疫力・自然治癒力』

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