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希望のがん治療 斎藤道雄著 |
日曜日の夕方に放送されるTBS系テレビ『報道特集』のなかで、ときおり「がんの代替医療」の現状について報告していたルポシリーズをご覧になっていただろうか? あのルポを取材・制作していたのが本書の著者、斉藤道雄さんである。斉藤さんはワシントン支局長や「筑紫哲也ニュース23」プロデューサーなどをつとめ、一貫してテレビ報道の現場を歩いてきた筋金入りのジャーナリストであると同時に、『原爆神話の50年』(中公新書)、『もうひとつの手話』(晶文社)などの著者でもあり、『悩む力』(みすず書房)では第24回講談社ノンフィクション賞を受賞するなど、書き手としての力量も折り紙つきの人である。
その斉藤さんが3年の歳月をかけて国内外をコツコツと取材してきたがんの代替医療にまつわる最新情報を、あざやかな手つきで整理してくれたのが本書。なによりも心強い美点は、「早期発見、早期治療でなくても、がんは治る」という、著者の確信犯的なスタンスにあり、そのスタンスを下から支える、先入観のない眼で観察された現実像がもつ説得力にある。
ジャーナリストは習性として疑い深いものである。斉藤さんも最初はそうだった。医師に見捨てられたがん患者が治っていく現実に接して、「診断のまちがいではないか、そもそもがんではなかったのではないか。あるいは偶然が重なったか、ひょっとして巧妙な金もうけではないかと疑ってみたことも一度や二度ではない」と告白している。だが、斉藤さんは次第に現実にたいする理解を深めていった。
「疑い深い私に率直に経験を語り、そうした数々の『奇跡』が事実であり、実際に起きたことなのだとわからせてくれたのは、結局のところがんを生きのびてきた多くの患者たちだった」「自らの知恵と力でがんを生きのびてきた患者たちが、自分自身のことばで語る体験に耳をかたむけていくうちに、なんども旧来の思考をくつがえされ、ついには自分が直面しているのが、これまで考えてみたこともない別の世界なのだと確信するようになった。それは世間一般の常識どころか、医学界の大勢にもそむく世界なのである」
斉藤さんが描いた代替医療という「別の世界」の実体については、ぜひ本書を一読して触れていただきたい。さまざまなケーススタディが紹介されている。そして多様なケースに通底する治癒のメカニズムを「安保免疫学」の理論によって解読している。本書のもうひとつの美点は、安保徹教授(新潟大)の理論の、ひじょうにわかりやすい解説書にもなっているところにあるといってもいい。(上野 圭一)
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