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わたしが治る12の力 上野圭一著 |
「自然治癒力」が健康補助食品の宣伝文句になっているのが気がかりだった。その安易さがである。一方、人々の不安をかきたて脅かすようなTV番組(例えば『本当は怖い家庭の医学』など)が氾濫し、健康不安社会、病院化社会も進行している。(むしろ、こちらのほうが問題なのだが)その両方に共通していたのは、私たちの意識の焦点が、病気や、「治る」か「治らないか」に向かっていることだった。大事なのは私たちがとにもかくにも元気であることなのに。
かつて、日本ホリスティック医学協会の元副理事だった故山下剛先生は、「医者は治したがり、患者は治りたがり」と看破したが、そうした言説は少なくなっているように見えた。
本書は、禅問答のような野口晴哉の「自分が病まねば、病は自ら去るなり」の言葉を手がかりに、自然治癒力というときの「自然」とはそもそもどう理解されてきたのか? というところから始まり、近代になってあてられた言葉「私」=病む自分という呪縛の紐をゆるめて、治りやすい自分になる道に向かう自然力、場力、感応力、無意識力、代謝力、呼吸力、信念力、イメージ力、放棄力、絆力、愉快力、患者力の12の力を説いている。
私たちにとっては、上野さんが、幼少時に溺死しそうになったことや断食体験、TV 局時代の腰痛体験や、鍼灸の師との出会い、老母とのコミュニケーション、バークレーでのこと、引っ越しの話などが開陳されていて、興味はつきない。初めて語られたそれら体験を、上野さんがどのように糧にされてきたか、その旅につきあわせていただくような楽しみも多い。
CAMUNetはいうまでもなく「西洋医学以外のあらゆる治療法を代替医療と呼び、医療の選択肢のひとつとして安全かつ適切な代替医療を利用することができる環境づくりをめざす」医療消費者の運動というか組織のようなものとしてスタートしている。安全かつ適切な「代替医療」とは、自然治癒力が働きだすスイッチをオンにしてくれるものなら、何でもいいというスタンスだが、ただ、自然治癒力についてはよくわからず、スイッチのオンオフもわかりにくかった。そうしたときに、わたしたちにもたらされたこの本は、いわばかつて日本ホリスティック医学協会が立ち上がるきっかけになったA.ワイル博士の『人はなぜ治るか』に当たる本になるのではないか、と思う。
CAMUNetの会員には全員読んでもらいたい必読書だと断言できるが、それだけでなく一人でも多くの人に読んでもらいたい本である。
(有岡 眞)
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