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表紙

スローフードな日本!

島村菜津著
新潮社 06.02
1,575円(税込)

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 前著『スローフードな人生! イタリアの食卓から始まる』の出版から約6年。日本におけるスローフード運動は、すべてこの本から始まったと言っても過言ではない。

 著者はイタリアで出会ったスローフード協会とその運動の趣旨を極めて正確に理解し、自らの主張も交えながらそれらを伝えた。これは日本のスローフード運動の発展にとって幸福なことであった。だからこそ、それに触れた人々の多くは、島村菜津という媒介者に触れながら、「スローフード」という言葉の意味するものを日本で実践すべく、次々と支部を立ち上げながら参入していったのだった。

 2002年6月に新宿で支部リーダーズ会議0(ゼロ)会が行われた際、支部と呼べるものは9つしかなかった。いまやその数は46(2006年5月現在)になっている。4年前の新宿で、著者は、「私にとって今日はもっとも待ち望んでいた日」と興奮しながら述べていた。その頃すでに精力的に全国の生産者や加工業者を訪ねて回っていた著者が、当時こう語っていたのを思い出す。

「日本にはイタリアに負けないくらいスローフード的な題材が豊富にある。2003年の秋には『日本におけるスローフード』の本を出す予定だ」と。

 あれからさらに3年。ようやく本書が出版されたことを感無量に思う。
 とは言え、なぜ3年前に完成しているはずの本書が、ようやく今、出版されたのか。ここには、その後の著者と日本におけるスローフード運動の蜜月が微妙な形で終焉し、ある種の苦闘の様相を呈してきた背景がある。

 本書が前著『スローフードな人生!』ほど晴れやかな印象を与えず、希望とともにため息のようなものが感じ取れる気がするのも、単に日本の食にまつわる現状の難しさだけではなく、日本においてスローフード運動をきっちり根付かせていこうとすることの難しさに直面してきた月日が、ドキュメンタリー的に行間に刻印されているからだろう。

 2002年からわずか3年半で37もの支部が誕生した背景は様々だ。マスコミはこぞって「スローフード」という言葉を取り上げたが、肝心の中身は置き去りにされた。一方で、すでに持続的生産の現場に携わってきた人々にとっては、スローフードと言ってみたところで、自分たちのやることにとりわけ変化が生まれるわけでも箔がつくわけでもなかった。

 様々な状況の中での板ばさみ。その中で喘ぎながらも、なお自らがこの国にもたらした「スローフード」に望みを託し、活路を見出していこうとすること——著者・島村菜津の苦闘のドキュメントとして読まれるべき書物、それが本書だ。

佐々木 俊弥(CAMUNetメンバー/スローフードすぎなみTOKYOコンビウム代表)

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