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穂高養生園の週末ごはん 福田俊作+穂高養生園スタッフ著 |
大好きな場所、穂高養生園の本が出版された。86年の開設いらい、たくさんのゲストたちに素敵な時間を創ってくれた、養生園を紹介するのに、いちばんふさわしいカタチで。
穂高養生園を一番印象づけているものは何か。
代表福田さんのカリスマ性?安曇野の自然? ヨガ?
オルタナティブなワークショップの数々?
それらをおいて「ごはん!」と答える人々が他にもいたのだ——本の企画が食事をメインにしているときいて、大きく頷いた私。そして、できあがった本が写真、文章ともに養生園ぜんたいの魅力をそのまま伝える術に長けていたのを見て、嬉しさも10倍にふくらんだ。
思うに、ここのごはんは「ていねいな暮らし」の賜物。泥だらけの野菜を洗うこと、皮や根っこを捨てずに食すための手間をかけること、お砂糖や化学調味料に頼らない味付けの工夫、山野からの収穫物の食卓への利用。
“カンタン・ベンリ”というキャッチコピーがもてはやされ、食品パッケージの裏書に調理法を教わるのがあたりまえのように育った私たちの世代。レトルト・冷凍食品の簡便さに恩恵は受けたものの、食をとりまく暮らしの智恵、季節に応じた生活などにはすっかり疎くなってしまい、気づいたら、生きるチカラがかなり危うい状態に……。
養生園の不思議のひとつに「知らない人と向き合ってごはんを食べても、何故か居心地がわるくない」というのがある。他にこんな場所があっただろうか? 長い木の座卓と白い木綿カバーのかかった座布団で、見ず知らずの人と話ながら囲む食卓。それは、養生園のおいしいごはんが人を「素」にもどす何かを持っていることと無関係ではないと思う。人々が安心して素にもどれるマクロな「おうち」が穂高養生園であり、もどることと、つながりを養うことは、養生の基本かもしれない。
病めるときも健やかなるときも……。
本のなかのレシピをさっそく試す。
この春、養生食をテーマにここで合宿(ホリスティックケアネットワーク:筆者が養生園で年に一度企画している合宿ワークショップ。来年のテーマは「笑いと治癒力」)をしたので、豆腐の味噌漬け、にんじんゼリー、切り干し大根のハリハリ漬け、番茶煮プルーンのあんこ玉の4品はこの本を作ったスタッフから直々に教わった(自慢)。そしてその時本書も購入、サインももらって大満足。
イギリス・トットネスの自宅では、ひじきと糸こんにゃくの袋煮、ごぼうのくず粉揚げを自己流で試したが、材料が日本から飛行機で持ち帰ったものだったので、ちょっと執念深い味だった。こんど穂高養生園に「ただいま」と帰れるのはいつだろう。
(高田 彩子)
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