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永遠の別れ—悲しみを癒す智恵の書 エリザベス・キューブラー・ロス+デーヴィッド・ケスラー著 上野圭一訳 |
キューブラー・ロスには「最後の著作」が3冊ある。というより、結果的に3冊になってしまった。
初の自伝『人生は廻る輪のように』で「これが絶筆になる」と宣言した彼女は、幸いにも病状が好転して『ライフ・レッスン』(弟子のケスラーと共著、ともに角川書店)を書くことができた。そのときも「これが最後」と宣言したのだが、なぜか寿命が与えられ、最後の最後に病床で口述筆記したのが本書である。
原題は「悲嘆とその過程について」で、処女作『死ぬ瞬間』の原題「死とその過程について」に対応しているのがミソだ。
ふたりの著者は長いあいだ無数の患者の臨終に立ち会い、また遺族の悲しみを癒す仕事に従事してきた。大切な人を失って時間が凍りつき、悲嘆の暗闇から立ち直れないまま苦しんでいる人たちが再び前を向いて歩いて行けるようになるためのノーハウを知り尽くしているプロである。
そのノーハウをきわめて具体的に、わかりやすい表現で公開した本書には、だれもがいずれは、そしてたいがいは突然に直面する「愛する人の死」をどう受け入れ、その人とともに過ごした時期の自分からどう脱皮するのかが紹介されている。
本書の底流にあるのは「悲しみぬくことそのものに癒す力がある」という命題だ。
悲しみぬくことは亡き人を忘れてしまうことでも、悲しみを感じないような「強い」人間になることでもなく、その人の死という「現実」を受容して、喪失とともに生きることを学ぶための智慧を身につけることに通じているという著者たちの観察は傾聴に値する。いま「千の風」という詩や歌に勇気づけられている人たちにお勧めの一冊である。
(上野 圭一)
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