Ecological Medicine
2009.3.7 更新
健康と環境を考える「エコロジカル・メディスン」2
“自分=自然”という一体感
安 珠 (ボディワーカー、エコロジカル・メディスン研究家)
「エコロジカル・メディスン」というコンセプトで前回より書かせていただいているが、これは、環境と人間の健康について同時に考えようというもの。米国に行った時に同タイトルの本に出逢い、そのコンセプトを知った。こうした考え方が出てきた背景には、石油文明、経済成長優先、市場競争原理主義、大量生産大量消費などなど、節度のない現代文明が、環境問題と健康問題を引き起こしている事実がある。1960年代には近代文明の行き着く先を懸念してカウンターカルチャーの動きがあったが、その後の経済成長の波に流されて、潜伏してしまった。そのツケが今の環境問題と健康問題、更にはエネルギー問題といった、人類存続の危機に近いような問題を引き起こしている。
健康に関する問題は、単にヘルスケアや医療の分野だけでは解決できないものとなりつつある。環境ホルモンや電磁波の人体への影響、ストレスフルな労働環境など、個人が気をつければ済むという問題ではなくなっている。さらに、ヘルスケアや医療の分野自体が環境に負荷をかけることにもなりかねない。薬用植物の乱獲や医療廃棄物による環境汚染などがあげられる。
「エコロジカル・メディスン」というコンセプトに従い、ヘルスケアの実践をするには、自分自身と地球環境は一体であるということを実感することが必要だ。日本人は自然と自分を分けるという概念がなかったらしいので、もともと根底に持っている“自分=自然”の感覚を思い出すだけでいいのかもしれない。
一体感を感じる方法としては、自然に触れ、自分自身も人間として自然の一部であることを感覚で捉えることが役立つ。また、自然を敬う心をはぐくむことも大切だ。人間は古来から薬草を利用したり、植物を衣食住に利用してきた。しかし、植物は利用するものであるという傲慢な考え方を捨てて、植物を同じ地球上に生きる仲間であり、尊敬すべき存在であるということを知る必要がある。なにしろ、今のところ唯一のフリーエネルギーである太陽光を光合成で物質に変換できるもは地球上において植物だけなのだから。
また、代替療法と呼ばれているものの中には自然物を使った療法が多い。そして、中国医学、アーユルヴェーダのように、季節や環境の変化に合わせて養生の方法を変えるなど、環境と人間の関係性に配慮したものも少なくない。
エコロジカル・メディスンとは、既にどこかに存在しているものではない。近代医学、伝統医学、民間療法それぞれが、環境負荷が少なく人間の健康に寄与できる「エコロジカル・メディスン」になれるかどうかを検証しなければならない。それが、これからのサスティナブルライフを構築していく上で必要なヘルスケアになりうるかどうかという基準となる。
『Ecological Medicine』より
エコロジカル・メディスンのコンセプト
- 人間と環境は相互に依存しあっており、環境の健全性は人間の節度にかかっている。
- 人間と環境の健康は固定されたものではなく常に変化している。自然の優雅さや回復力に学ぶことは人間の健康にも恩恵をもたらす。
- ヘルスケアは多くの人の健康と環境に悪影響を及ぼすものであってはいけない。
- 地球に負荷をかけない適正な医療をめざす。
- 伝統療法や土着のもなど多様な療法を認める。
- 知識を得て現状を変えるために患者は医師のパートナーとなり、医療の専門家は環境の専門家と協調すべきである。また、健康関連の組 織は地域に貢献し、地域の人々は自分たちの福祉と周囲の自然環境をどう統合するかを学ぶべきである。
- 社会全体として、地球に対する負担を最小限にとどめ、人間の基本的な欲求(健康、栄養、家庭、住まい、やりがいのある仕事など)を満 たすことができる仕組みをつくるべきである。
●安珠さんのサイト
アロマグルーヴ http://www.aromagroove.jp/
エコロジカル・メディスン http://blog.goo.ne.jp/ecomed