Self Healing
Qigong-everyday ー 気功的日常
功法1 立・座・臥問わない万能功法「背骨ゆらし」
今村 美沙子
からだが本来持っている力(たとえば自然治癒力など)を発揮するには、先ず頭を休めることが大切ですが、このからだと頭との関係は、比較的支配的な母親と非常に素直な子どもの関係にも似ているように思えます。
母親の考えや望みにあわせようと、子どもはあたかもそれが自分の願いであるかのように行動します。が、もし母親が子ども自身が考えるより先にその行動を指示することなく「お口はチャック、手はお膝」の姿勢で、じっくりと粘り強くこども自身の言葉を聴く努力をしたならば、きっと子どもは自分の願いとして、必ずしも母親がやらせたいと考えていることとは別のこともきちんと表現してきます。
同じように、頭であれこれ考え続けてしまうことをやめ、じっくりとからだに向き合う習慣を持つと、からだは次第にからだ自身の意志を表現し、自分がいきいきと生きるために必要な力を発揮するように動いていきます。
ですから、からだの本音をキャッチした上で行動する習慣は、過剰な適応によって慢性疲労を蓄積しその結果自分のからだも自然環境もこわしていくといった悪循環の歯止めとしても大切なことと言えます。
からだに向き合うためには、頭を休めあれこれ余分なことを考えることをやめて心身がリラックスすることが必要ですが、それには単純な繰り返し運動をすることが、一番てっとりばやいようです。
そして様々な単純な繰り返し運動の中でも、津村喬(健康ヘルパーネットワーク代表・気功文化研究所所長)によって「背骨ゆらし」と名づけてまとめられた気功法は、立ってやってよし、坐ってやってよし、寝たままやってよしのリラックスを生み出す万能功法と言えると思いますので、以下に簡単にご紹介いたします。
【背骨ゆらしのやり方】
肩・首の力を抜き、頭の重みを使って背骨をゆらしていく気功法です。
左右ゆらし・前後ゆらし・右回転・左回転の4つの動きを基本運動と呼び、風に吹かれる野原のすすき、あるいは海の中でゆらいでいる海草をイメージしながら、尾骨から動くことを繰り返すことで、次第に椎骨がひとつひとつ順に波打つような背骨のゆらしとなっていきます。
脊髄の中枢神経のいれものである背骨をゆらすことによって、筋肉・内臓・神経にも働きかけることのできる、からだにとって本質的な運動ですが、5分でも10分でも日常の中のすきまの時間を生かしてやることができることも、また大きな魅力です。
更に基本4運動をベースとして、両手のストレッチ、足のストレッチ、あるいはマッサージをしながらといった具合に自分にあった様々なバリエーションで行うこともできます。
この時、自分の心地よい感覚を大事にしながら、効果をあせらず淡々と揺れて頭を休めることが大切です。
ところで私は、リラックスした状態を「あるがままでトラブらないこと」と言えるのではないかと感じています。
私が「背骨ゆらし」をやるためにお借りしている家には、1才半頃の女の子がいます。人見知りをしますが、不思議と「背骨ゆらし」を始めると近くに寄ってきて、ほんの短い時間ですが膝にのって一緒にゆれたりもします。ある時、この子を膝に抱き上げようと後ろから手を伸ばしそのからだにふれた瞬間、この子のからだの中ですっと気が下がったので、「ここにいたい」とからだが表現したその意志を尊重してそのまま手を引っ込めました。ふだんは力を入れようとした時に相手がふっとからだを引くといったような、もう少し外側のからだの動きで相手の気持ちを感じとります。が、「背骨ゆらし」をする習慣のある私は、ゆれ始めるとすぐに気の会話モードになるようで、私が手に力をいれる以前に起こした相手の反応をキャッチしたというわけです。
過剰な気配りは互いに疲れるもとですが、からだをリラックスさせた時、自分の体の中の気の流れも、他者と関わる気の流れもとてもスムースになっていきます。
緊張過多のこの時代、一緒にゆれてみませんか?
いまむら・みさこ Misako Imamura
健康ヘルパーネットワーク事務局長
追) 多くの方にとって「背骨ゆらし」が当たり前の日常になることを願い、健康ヘルパーネットワークでは「背骨ゆらし100人組」をつくっています。ホームページをご参照下さい。
「健康ヘルパーネットワーク」 http://www.health-helper.net/
健康ヘルパーネットワーク代表 津村 喬さんの本 『気功への道』