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2004/06/11

『治る力を呼びさます 統合医療のすすめ』(東京堂出版)
その出版の背景

統合医療ビレッジ 山本竜隆

■A.ワイル博士の「統合医療プログラム」をアジアで最初に受講した著者に、自著のコンセプト等について書いていただきました。

山本竜隆さん
山本竜隆さん

 昨年7月、東京・四谷に"統合医療ビレッジ"が開設されましたが、開設前の準備段階では"統合医療"と言われても一般には馴染みが浅い言葉で意味がわからない、固すぎる感じがする、日本では時期尚早だ、などの意見が大半でした。何回も断念して楽になりたいと考えましたが、私が参加したアリゾナ大学統合医療プログラムの目的の一つに「各地域にマッチした統合医療を展開する」があり、何とか実現したいという気持ちがありました。

 上記のようなさまざまなご意見やご指摘から、統合医療に代わる言葉を探したものの、名案は浮かばず、結局"統合医療"でスタートしました。昨年の夏ごろからは一般誌などでも代替医療という用語が使われ始め、自然療法分野全般に対する関心の高まりも伴って、統合医療も徐々に受け入れられてきたように思います。

 しかし一方で統合医療に関する誤解は多くなっています。統合医療は単に現代西洋医学と相補・代替医療を併せたものではなく、治療医学と予防医学、糖尿病や高血圧などの集団(Mass)を対象にした医療と個を対象にした医療、本邦の場合は保険診療と自由診療、そのほか客観的データに基づく医療と満足度を重視する医療、さらに精神的対応と肉体的対応、受動的医療と能動的医療、対症療法と根治療法、短期的対応と長期的対応、個人的対応と社会的対応などを幅広く考慮して融合する医療です。またその基盤には患者と医療従事者との関係性構築や哲学、環境なども重要な因子として関わってきます。

統合医療のすすめ
『治る力を呼びさます
統合医療のすすめ』
東京堂出版/1995円(税込)

 よって、単に現代西洋医学に漢方や健康食品を使ったり、代替療法家と共同で医療を行うことが統合医療ではないのです。また言い換えれば、たとえ治療が西洋医学的手段のみであっても、そのプロセスによっては単なる西洋医学でもあるし、統合医療となる場合もあるのです。このような修正すべき点もあり、より正確な統合医療を広く知って頂きたいと考え、執筆を開始しました。

 書籍のタイトルですが、当初は西洋医学と代替医療の医療従事者が歩み寄って欲しいという理由から "現代医学から統合医療へ、代替医療から統合医療へ、両者からの歩み寄り"を考えていました。しかし患者さんの意識改革や情報提供などがより重要であることを思い出し、現在のタイトルに決まりました。

 本邦において統合医療は、その試みが始まったばかりです。完成された統合医療はまだありません。常に発展していくもので方向性は決まってきても、終わりは無いのかもしれません。それでも私は、本邦の統合医療発展が次の3段階で発展すると考えています。

  1. 統合医療の基本的理念を共有する各医療分野から集まった医療従事者と実践現場とネットワークの確保。
  2. 本邦にふさわしい統合医療のノウハウ、教材や教育システムの構築。
  3. 確立されたノウハウの普及と人材の輩出。

 現在は、まさに第1段階から第2段階への移行が始まったところにすぎないのですが、すでに夢のような医療が現実に存在しているように思われがちです。その点でも現在の状況を知っていただきたく、その事を文中に記載しています。
私にとっては、翻訳書や共著を除き、初めての出版でした。本当に勝手がつかめず、出版社の方々にもいろいろご指導いただいての製作でした。まだまだ発展途上における出版ではありますが、私にとっても一つの節目の時期としてまとめることができて大変嬉しく思っています。

 最後になりますが、統合医療の概念において、各代替医療は枝葉であり、医薬品や施術はそれほど重要ではありません。西洋医学も同じ事です。本当に重要であるのは医療(科学)哲学や患者—医療従事者との関係性、もっと言うと自然観や思想などの文科系領域です。この点で統合医療とは理科系と文科系との融合も意味し、その奥の深さを痛感する毎日を送っています。現在は数年先を目標にして、身近で受け入れ易い日本版の統合医療が普及する事を願って微力ながら努力しています。この書籍を通して、さらなるご意見やご指導をいただければと希望しています。

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