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2006/03/04

「ナチュロパシー」の世界—2
ナチュロパシーの歴史

鈴木 クリス/根岸 理奈子/津川 沙世理(国際ナチュロパシー協会)

 近年、アメリカ合衆国をはじめ欧米諸国、カナダ、オーストラリア、インド、ニュージーランドなどのさまざまな国において、代替医療の利用者が急速に増加しています。2000年のアメリカ合衆国政府の調査では約1億5800万人もの人々が代替医療を利用し、その総費用は17億ドルにも上りました。生活習慣病など人々の生活と深く関係する健康問題が増えてきている日本においても、健康維持、病気予防を目的とした多くの代替医療の需要が増加すると思われます。

 代替医療のひとつであるナチュロパシーは、ドイツ人医師ベネディクト・ラスト氏により創始されました。

 ラスト氏はアメリカにおいて、ナチュロパシー専門大学を創立するなどナチュロパシーの教育制度を整えました。またナチュロパシーの国家資格の確立にも大きく貢献し、その多大な活躍により、アメリカ政府はナチュロパシーを正式に国家資格と認めることになります。そうした結果、現在、ナチュロパスは公式にナチュロパシー療法を民間に提供できるようになったのです。

 ナチュロパシーの歴史は新しいように思われますが、その多くの知識は"Nature Cure(自然療法)"から取り入れられており、2000年以上もの歴史を持ちます。 例えば、前回ご紹介した「ナチュロパシー7原則」は、西洋医学の父としても知られるヒポクラテス(B.C.400年頃)の哲学から取り入れられています。他にもハーブ療法や食事療法の知識は欧米諸国やインド、中国などの伝統医療や文化から。またガレーノス、パラセルサス、カルペパーなどハーブ治療や自然療法に深く貢献した多くの医師の知識も取り入れられています。その後も多くの療法家や医師が自然療法を使い活躍しましたが、とくにドイツ人牧師クナイプ師(Father Kneipp)はナチュロパシー療法に影響を与えた重要な人物です。

 クナイプ師は、コレラ流行期に多くのコレラ患者を彼独自の治療法で癒したことから"コレラ牧師"として知られています。彼は水療法、ハーブ療法、運動、空気、食事療法などを使った自然療法を行い、世界各国から訪れた患者を癒しました。世界的に有名な著書"My Water Cure" の著者でもあります。前述のベネディクト・ラスト氏が結核症に冒された際、治療のため訪れたのもクナイプ師の診療所でした。

 ラスト氏はドイツ出身のアメリカ移住者でしたが、結核症に冒されて母国に戻らざるを得ず、そこでクナイプ師の診療所で治療を受けることにより8ヶ月後には回復しました。後にラスト氏はクナイプ師の弟子となり、その自然療法を学ぶことになります。そして後継者となったラスト氏は、この治療法を広めるためにアメリカへ戻り、1898年には初のナチュロパシー大学「アメリカン・スクール・オブ・ナチュロパシー大学」を創設しました。診療も始めたラスト氏でしたが、さらなる勉学に励み、1898年ユニバーサル・オステオパシック・カレッジ、1902年ニューヨーク・ホメオパシック・カレッジ、1913年にはニューヨークにあるエクレクティック・メディカル・カレッジをそれぞれ卒業、さらにフロリダ州で西洋医学医師の資格を取得します。1905年には前述の「アメリカン・スクール・オブ・ナチュロパシー大学」が政府により公式に認定され、創設者ベネディクト・ラスト氏はナチュロパス(ナチュロパシー医)として正式に認められることになりました。

 1923年には国民のナチュロパシーへの関心と需要が増し、ナチュロパスの数は9000人にも及びます。1920年代の末までには多くのナチュロパシー専門学校が創設されたり、ナチュロパシー専門雑誌が6種類出版されるなど認知度も高まりました。

 人々の健康にたいする意識が向上するとともに、ナチュロパシーは欧米諸国をはじめ、インド、オーストラリア、ニュージーランドなどへと広がりました。現在では多くの国でナチュロパシー療法が行われ、人々の健康維持、体質改善、病気予防、病気治療に役立てられています。さらにアメリカ、オーストラリアなどいくつかの国においてはナチュロパシー療法の一部が保険適用されています。

 近年、日本でも人々の健康に対する自己管理意識が高まり、健康ブームと言える状況にあります。それに伴い代替医療の需要が高まってきています。今年、私たちは国際ナチュロパシー協会を日本に発足させました。日本でのナチュロパシーの普及につとめることが目的です。私たちの活動をご支援いただければさいわいです。

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