What's CAM?
代替医療という世界(1)
「代替医療」ということばをめぐって
CAMUNet
代替医療先進国のひとつアメリカでは、政府機関のNIH(National Institute of Health=国立保健研究所)に代替医療専門の研究センターNCCAM(National Center for Complementary and Alternative Medicine)があり、いまや年間1億ドルという予算までついています。
よく知られていることですが、アメリカにおいて代替医療への強い関心が生まれたきっかけのひとつとなったのは、ハーバード大学医学校の当時助教授だったデービッド・アイゼンバーグ博士らが調査し、権威ある医学専門誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』に掲載された「合衆国における非通常医療——その普及・費用・利用パターン」(1993)という論文でした。
その論文では、1990年時点で国民の3人に1人が過去1年間に代替医療を利用しており、それに費やされた費用は137億ドルと、全入院経費のうち自費で支払われた金額の年間総額128億ドルを上回っていたことなどが報告されていますが、同論文では「代替医療」とは呼ばれておらず、論文タイトルにあるように「非通常医療」(Unconvetional Medicine)と称されています。
では、どのようなものを指して非通常医療と呼んでいるかというと、「unconventional(非通常), alternative(代替), or unorthodox(オーソドックスではない)therapies(療法)」であり、「合衆国の医学校で一般的には教えられておらず、また合衆国の病院では通常に利用できない治療法」としています。
“医学校で教えられ、病院で受けられる治療法”とは、いわゆる近代西洋医学であり、それ以外の療法を引っくるめて非通常医療と呼んでいるわけです。
近代医学を“通常”とし、それ以外の療法を“非通常”と置いて調査してみたら、医療消費者の側は、、その非通常医療を大いに使っていたという結果が出て、この論文にアメリカの医学界は非常に衝撃を受けたのでした。
ところで、「代替医療」ということばは英語のオルタナティブ・メディスン(Alternative Medicine)の直訳語です。この“オルタナティブ”には、“既存のものに取って代わる”というような強いニュアンスがあり、それを嫌ったのでしょうか、同じものをイギリスでは、“近代医学を補完する療法”という意味で「補完医療」(Complementary Medicine)と呼んでいます。
![]() いまなぜ「代替医療」なのか 上野圭一+CAMUNet著 帯津良一監修 |
また、「代替」と「補完」、いったいどちらが適切なのかというようなことから、それらを合わせた「補完代替医療」(Complementary and Alternative Medicine=略称CAM)という呼び名も生まれ、欧米でも最近はこのCAM(カム)を用いるのが一般的になってきたようです。
そこで、わたしたちは団体名その他で、英語名ではCAMを、日本語では「代替医療」を採用しています。
なぜ日本語では「代替」を採用しているかというと、「オルタナティブ」には、単に“既存のものに取って代わる”というだけでなく、出自的に“よりエコロジカルな”“より持続可能な”というような意味もじつは含んでいるからですが、このことについてはあらためて説明します。
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