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What's CAM?

 

代替医療という世界(3)
エコロジカルでより自然な療法

CAMUNet

 代替医療(代替=ダイタイと読んでください)とは、「オルタナティブ・メディスン alternative medicine」という英語を翻訳したものであり、わたしたちが通常病院で受けている、いわゆる近代西洋医学以外の医学や療法・健康法の総称です。つまり、そもそもが欧米からきた考え方です。

 わたしたちが活動を始めた5年前にはこの「代替医療」ということば自体がまだ耳新しく、実際、日本の東洋医学関係者など、「長い歴史を持つわれわれの医療が、どうしてダイガエなんだ」と怒ったほどでした。それは日本語の「代替」に、どこか"間に合わせ""質は落ちるが仕方なく使うもの"というようなネガティブなニュアンスがつきまとうからですが、英語のalternativeも、もともとは似たようなニュアンスだったそうです。

 ところが欧米では、1960年代後半から70年代前半にかけて若者を中心に「対抗文化(カウンターカルチャー)」という大きなムーブメントが巻き起こり、その中でalternativeということばの意味合いが変わっていきました。対抗文化は、日本ではおおむね"ヒッピー文化"程度の理解として終わってしまいましたが、そうではなく、ひとことで言うなら"いまの世界のあり方に対する異議申し立て"の運動であり、alternativeは"間に合わせ"ではなく"既存のものに取って代わる"というような強いことばとして、医療に限らずさまざまな分野で積極的に使われるようになっていったのです。

 それにしても、今日振り返って驚くのは、その運動の中から提示された問題意識やメッセージが、30年以上たったいま、わたしたちの誰にとっても身近でリアルなものになっていることです。その最たるものが環境問題で、いまわたしたちが普通に使っている「エコロジー」ということばは、そもそもは単に「生態学」という意味だったのが、対抗文化の中で"地球もひとつの生命体である"という考え方が提唱され、そこから環境を考え、地球と共存した生き方を——というエコロジー運動が広がっていったのでした。

 しかし、当時の日本は高度経済成長期のピーク時であり、一方で公害問題が大きくなっていたにも関わらずイケイケの時代であって、「地球も生命体」というメッセージがどれほどの人に届いたか……。いや、届いたとしても、大多数の日本人には寝言程度のものではなかったでしょうか。それがいまや、地球環境がもはや待ったなしの危機的状況にあることを誰もが知っているし、二酸化炭素排出削減に非協力的なアメリカにみんなが怒っています。

 収穫効率だけを追求する化学肥料や農薬に対する危惧からオーガニック——有機農業や有機食材・有機素材への強い志向もこの対抗文化の中で生まれていますが、いまや食の安全の問題と、環境という2つの観点から、「オーガニック」ということもわたしたちの身近なテーマになっています。

 同じように、近代医学や医療に対する異議申し立てとして出てきたのが、代替医療でした。

 つまり、ここにおけるalternativeということばの意味は、「近代医学とは依って立つ考え方が違う医学・医療」ということであり、近代医学が切り捨てた近代的でない、つまり今日の科学では証明できない伝統的な医療や民間医療などを積極的に見直そう、というものでした。

いまなぜ代替医療なのか〜治癒系を活かすヒーリングアート〜
いまなぜ「代替医療」なのか

上野圭一+CAMUNet著
帯津良一監修

 そこにおいて、代替医療ということばには、"近代医学に代わるもの"というだけでなく、環境問題や有機農業・有機素材と同様、"よりエコロジカルな医療""よりサスティナブルな医療""より心身に自然な医療"というニュアンスも付与されていきます。

 「近代的なるもの」ではないもうひとつの道、いや、「近代的なるもの」を超える新しい価値観や生き方、その方法——それがalternativeであり、代替医療もそうした考え方のうえに成り立っているものなのです。

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